住宅ローンの審査で用いる一般的な年収からみた借入可能額の計算方法について解説します。(2020年12月)

借入可能額とは

借入可能額とは、金融機関が定める(1)~(3)の金額のうち、最少の金額を指します。

  1. その金融機関が定めた貸出の上限金額
  2. その金融機関が定めた担保掛目(担保評価額に対する総借入金額の割合)の範囲内の金額
  3. その金融機関が定めた返済比率(前年度税込年収に対する年間総返済額の割合)の範囲内の金額

これら3つの基準は、利用する金融機関によって内容が異なるため、その都度、確認が必要です。

 

返済比率の範囲内の借入額とは

ここでは、金融機関が定めた返済比率の範囲内の借入額を計算する方法をご紹介します。

Case Study;借入可能額の計算

年収540万円の世帯主(37歳)が、審査金利4%、借入予定期間を35年とした場合、住宅ローンの借入可能額の計算によれば、いくらまで借りることができるのか?

 

(年収) (返済比率) (年間の返済可能額)
(1) 540万円 × 35% 189万円

(年間の返済可能額) (月々の返済可能額 ※1)
(2) 189万円 ÷ 12ヵ月 15万7,500円

(月々の返済可能額) (※2) (借入可能額)
(3) 15万7,500円 ÷ 4,428円 × 100万円 ≒3,550万円

 

※1;クレジットなどで購入した消費財の割賦返済金などがあれば、ここから差し引きます。
※2;100万円を年利4%、35年返済で借りた場合の月々返済額

 

(1)年収別に設定されている一般的な返済比率の上限

税込み年収 返済比率の上限
A銀行 B銀行 C銀行 フラット35
300万円未満 25% 30% 30%
300万円以上 30% 35% 35%
400万円以上 35% 40% 40% 35%
700万円以上 35% 40% 45%

※金融機関によって基準は異なります。

 

(2)100万円借りた場合の金利と返済期間による毎月返済額の目安

返済期間
10年 15年 20年 25年 30年 35年



1.0% 8,761 5,985 4,599 3,769 3,217 2,823
1.5% 8,980 6,208 4,826 4,000 3,452 3,062
2.0% 9,202 6,436 5,059 4,239 3,697 3,313
2.5% 9,427 6,668 5,300 4,487 3,952 3,575
3.0% 9,657 6,906 5,546 4,743 4,217 3,849
3.5% 9,889 7,149 5,800 5,007 4,491 4,133
4.0% 10,125 7,397 6,060 5,279 4,775 4,428

(単位;円)

実際に融資を受ける場合、申込人の年収以外にもさまざまな審査事項があり、すべてを勘案した上で融資額が決定されるため、ここで計算した金額が必ず借りられるということではありません。
つまり、あくまでも目安として捉えておく必要があります。

また、申込みをする金融機関によって審査の際に用いる金利が異なるので、この点にも注意が必要です。
例えば、都市銀行などは3~4%程度の金利で審査を行うのが一般的ですが、その他の金融機関では、10年固定型住宅ローンの店頭金利であったり、融資実行日の属する月の適用金利を用いる場合などもあり、さまざまなのです。
そのため、申し込む金融機関によって、同じ年収でも借入可能額が異なることがあります。